アールデコは、1920年代から1930年代にかけて流行した装飾美術様式です。
幾何学的な模様、鮮やかな色彩、力強い線などが特徴で、当時のモダンな時代精神を反映したデザインとして世界中を席巻しました。
本記事では、アールデコのポスターの特徴を詳しく解説します。
アールデコポスターの特徴
1. 幾何学的な模様
アールデコのポスターは、
- 直線
- 曲線
- 円形
など、様々な幾何学的な模様を多用しています。
これらの模様は、単に装飾的な役割だけでなく、ポスター全体に秩序とリズムを与え、モダンな印象を与えています。
2. 鮮やかな色彩
アールデコのポスターは、
- 黒、白、金、銀といった基本色
- 赤、青、黄色、緑などの原色
これらの色彩を大胆に使用しています。
鮮やかな色彩は、ポスターに力強さと華やかさを与え、見る人の視線を惹きつけます。
3. 力強い線
アールデコのポスターは、太い線や細い線を使い分けることで、力強さと繊細さを表現しています。
- 太い線=力強さ
- 細い線=繊細さ
特に、人物や建物の輪郭線は太く描かれることが多く、ポスター全体の印象を引き締めています。
4. 様式化された人物像
アールデコのポスターの特徴の一つとして、写実的な人物像よりも、様式化された人物像が描かれることが挙げられます。
これは、当時の理想的な美の表現と、装飾性への追求によるものです。
人物像は、写実的に描くのではなく、その人物の特徴や感情を表現することに重点が置かれます。
そのため、誇張された表情やポーズなどが用いられることもあります。
5. 象徴的なモチーフ
アールデコのポスターでは、
- 太陽
- 月
- 星
- 動物
- 植物
などのモチーフが、象徴的に使用されることがあります。
また、アールデコ時代は、第一次世界大戦後の復興期であり、人々は新しい時代への希望や楽観的な気持ちを抱いていました。
こうした時代背景を反映して、アールデコポスターには、未来への希望や繁栄を象徴するモチーフがよく用いられました。
6. 洗練されたタイポグラフィ
アールデコのポスターでは、書体も重要なデザイン要素の一つです。
幾何学的な形をした書体や、力強いセリフを持つ書体がよく使用され、ポスター全体のモダンな雰囲気を強調しています。
アールデコタイポグラフィは、後のグラフィックデザインに大きな影響を与えました。
現代でも、アールデコ風のデザインは、レトロな雰囲気を出すために使用されることがあります。
アールデコのポスターの代表作
アドルフ・ムロン・カッサンドル「ノルマンディー号」
引用元:たくのブログ
このポスターは、フランスの豪華客船ノルマンディー号の宣伝のために制作されました。
アールデコポスターとして、一番有名な作品です。
船体の流線型や波を幾何学的な模様で表現し、鮮やかな青と白のコントラストで美しい作品に仕上がっています。
力強い線で描かれた船体は、ノルマンディー号の力強さを表現しています。
制作年: 1935年
タマラ・ド・レンプスカ「自画像」
引用元:culture
このポスターは、アールデコ調の自画像作品です。
様式化された女性像を、緑やピンクなどの色彩で描いている作品です。
タマラ・ド・レンプスカの作品はアールデコを象徴とするものが多く、アールデコを代表するデザイナーとして人気となりました。
制作年: 1925年